点在するデータを集約し、効率的な広告運用で売り上げ115%アップを実現

株式会社TSIホールディングス様 事例

多数の人気アパレルブランドを保有するアパレル企業のTSIホールディングス。今回はそのグループ会社であり、Webでの戦略・運営を手掛けるTSI EC ストラテジーの竹山様にQuick DMPのご活用について弊社デジタルマーケティングエンジニアの井上がお話をうかがいました。

TSI

TSI様では、Quick DMPを活用し、Big Queryに各種社内データを蓄積する環境を構築しました。それをLooker Studio(旧 Google データポータル)やスプレッドシートにてユーザーのロイヤリティ分析を実施、広告運用に活かして、売上の115%アップも実現されています。社内提案してツールを導入し、エンジニア経験がないにも関わらず独学でSQLを勉強されて、データ抽出、分析、活用までされている竹山様から興味深いお話をいろいろうかがうことができました。

TSI様の企業概要とWebサイトについて

Webサイトキャプチャ

東京スタイルとサンエー・インターナショナルが共同株式移転により設立。「ナノ・ユニバース」や「ナチュラルビューティベーシック」、「マーガレットハウエル」、「パーリーゲイツ」などのブランドを展開する大手アパレル企業。MIX.Tokyoという直営ショッピングモールもあり。

ご担当部門の体制について

初めに、現在メインで担当されている竹山さまは、普段はどのような領域のお仕事をされていますか?

竹山さま)
所属するECストラテジー部門は、TSIホールディングスの中で、デジタルの横断的な、ブランド横串の戦略を担っています。その中の主に広告領域で、代理店さんと一緒に、事業側の広告担当者に対して、予算の使い方やKPIの立て方の支援をしたり、代理店さんとブランド側がたてた売り上げや会員獲得目標に向けて、効果の最大化を図っていくため、広告に関わることであれば、割とこう何でもやっているという感じですね。

実装から分析までという感じですね。竹山さまお一人で担当されているのですか?

竹山さま)
現在は3名で、全ブランドを見ています。

導入の経緯

最初にどういうことを実現しようと考えられて、Quick DMPを導入いただいたのでしょうか?

竹山さま)
データが様々なところに散らばっていて、それを集約したいなっていうのは前々からありまして。

それは媒体ごとというのもそうですし、広告とGoogleアナリティクスと、というようなところですね?

竹山さま)
はい。当初は(無償版のGoogleアナリティクスから)Googleアナリティクス360に変えたかったので、お問合せさせていただいたのですが、Big QueryがGoogleアナリティクス360を導入するとエクスポートできるということを伺って。最初はあまり利用することを想定していなかったのですが、Big Queryでデータ構築ができるということで、それを活用するためにQuick DMPを導入するにいたったという感じですね。

点在しているデータを一か所に集約した先に、こういうことをしたいみたいなものは具体的にありましたか?一元化したレポートを見たいとかデータ同士の関連性を見て、何か新しい施策をしたいとか…

竹山さま)
後者の、データ同士の関連性を見て次の施策に活かすという方がメインとしてはありましたね。
特に広告のターゲティングでは、例えばロイヤルユーザーはどういう人だという分析は、データを集約する前はExcelを使って、すごく時間をかけてようやくできるという状態でした。それが今スムーズに施策にも活かせるようになっています。

データをいろいろなところから集める点では、Quick DMP以外の他のツールがあったり、社内のITリソースを使うとかあると思いますが、最終的にQuick DMPを使おうとなった理由は、シンプルに360の導入があったからですか?他のツールはあまり検討されなかったのでしょうか?

竹山さま)
そうですね。後はテーブル構築とかも含めて、御社にサポートいただけるというところが決め手ですかね。片岡さん(アユダンテ デジタルマーケティングエンジニア)に、かなり負担をかけてしまっているとは思うのですが(笑  いらっしゃらなければ、成り立たなかったので。

施策内容

現在CRMとか店舗のデータを連携いただいていますが、これらはユーザーのロイヤリティ等を見るためにされているという感じですか?

竹山さま)
そうですね。他にも、店舗で購入経験のある方で、ECで未購入の方をユーザー群としてまとめ、そういう方たちを対象にキャンペーン的な施策を行ったりはしていますね。

先ほど、次の施策に活用されていると伺いましたが、例えば他のお客様では、実際の広告の成果を見るためBig QueryにためたデータをTableauで見るとか、Looker Studio(旧 Google データポータル)で見るために、ダッシュボードをキレイに作りました、みたいな話があったりするのですが、御社ではビジュアライズみたいなところはあまり力を入れていらっしゃらないですか?

竹山さま)
個々に見て、私も一応Looker Studio(旧 Google データポータル)で可視化したりはしているのですが、それをダッシュボードにしてまでっていうということはできていない。こういうのが見たいとなった時に、自分でSQLを書いて分析して見ている感じですね。

そういったアクションは1日の中で何度もされる感じですか?それとも必要な時だけですか?

竹山さま)
結構何度もやっていますね。同じものの日付変えるというものもありますが、それを入れても1日に10~15くらいはやっていますかね。

竹山様のバックグラウンドは、エンジニアでいらっしゃるのですか?

竹山さま)
私はずっと広告代理店です。SQLを書けるといってもどの程度か?というのはあるのですけど、書籍を買って、一通り全部書き写してやってみて、というような感じで覚えました。後は井上さんや片岡さんに教えてもらったりとか。結構負担をかけているかもしれないですね(笑

私も片岡も、そこまでSQLの質問をたくさんいただいたという印象はないです。(笑
こういうクエリを書いてくださいっていうのを次々と依頼いただくお客様もいるのですが、ご自身でできると、早くアクションできるのでビジネス的には大きいですね。

竹山さま)
広告なのに、不思議ですよね。不思議だなと自分でも思っているのですけれど。(笑
うちは、ナノユニバースとかマーガレットハウエル、ナチュラルビューティベーシックとか、ジルバイジルなどのブランドで34サイトくらいあるのですが、全部いれてもそこまでヒット数がいかないので、グループ的に無償版のGoogleアナリティクスを使っていました。
元々広告測定ツールを入れたいと考えていたところ、単発だと面白くないから、もっと頭をひねって提案してくれというようなことを役員にも言われまして、Googleアナリティクス360を導入すると同時に、Big Queryを使ってデータ構築できると上に提案しました。提案したので担当することになりましたが、新しい学びがあり、結果的には良かったですね。

データを抽出してきて、それを分析されているのはLooker Studio(旧 Google データポータル)っていうことになりますか?

竹山さま)
はいそうです。Looker Studio(旧 Google データポータル)かスプレッドシートですね。

その分析は、基本ユーザー軸ですよね? サイト内でこういう行動をとっているとか、こういう商品を買っているとかでメールアドレスの一覧をひっぱってきて、広告を配信する。

竹山さま)
そうです。

それはどのくらいのスパンで回されているのですか?

竹山さま)
MIX.Tokyo という運営しているモールがあるのですが、そこだと一週間に一回くらいです。

それは都度、今回はこういうユーザーを引っ張ってこようとか、毎回アイデアを変えていますか?それとも基本的には同じですか?

竹山さま)
変えています。

その変える基準というのは?

竹山さま)
例えば購入回数と購入金額の多い方が、どのブランドを購入されているかという傾向を、一年分くらいのデータを見て、新規にユーザーにアプローチするときに、購入回数の多いブランドの服の画像をバナーで見せたほうが売れるのではないかと仮説を立て、Facebookで配信したりしています。結果としてあまり売れていないようであれば、他のブランドでも試してみたりして、サンプルを増やしていって。
またその広告で買ってくれた人を、3ヶ月とか半年といった期間で見ていって、ちゃんとリピートしてくれているかとか、リピートしてくれる人の反応の良いクリエイティブはどれか、その施策パターンはといったものを定期的に見たりしていますね。

例えば、Big Query上にGoogleアナリティクスのデータも入っていますし、店舗のデータも入っているので、メルマガで配信した人が、オンラインでは買わなかったけど、店舗に買いに来たというのは分析することで、見られるようになるとおもいますが、その辺はまだされてはないですか?

竹山さま)
広告ではしています。広告をクリックして30日以内にどのくらいの人が店舗で買っているかというのはやったりはしていますね。広告ばっかりになってしまっているので、おっしゃるように進めていかないとといけないですね(笑

でも、それをやりだすと、竹山さんがパンクしてしまうかもしれませんね(笑

竹山さま)
御社にご協力いただいて、最初何がなんだか全然わからなかったのが、なんとなく自分がやりたかったことができる、それも結構楽にできるようになったので、そこはすごい、自分の中でも進化だと思います。

施策効果

Quick DMPを入れ、Big Queryでデータ構築されたとによって、できるようになった、改善したというところを教えてください。

竹山さま)
いくつかあるのですが、例えば、複合モールサイトという形で5ブランドくらいを扱っている事業があるのですが、ブランドによって知名度の違いがあり、その中で知名度が中くらいのブランドに、Google広告でお金をかけすぎていたことがわかりました。ブランド側としては当然そのブランドキーワードを検索してきているユーザーだから、そのブランドを買っているものと思って出稿していたのですが、クリック単価がどんどん高騰していってしまっていて。Big Queryでデータを見て初めてわかったのが、一番人気のあるブランドから流入してきたユーザーでもその三番目のブランドのものを買っている。三番目のブランドの売り上げがたとえば100万だとすると、一番人気のブランドKWで流入したユーザーの購入額が、その3倍とか4倍くらいあった。結果としてその一番強いブランドKWにお金をかけたほうが、他のブランドも売り上げがあがるという傾向が、3ヶ月くらい見ていってわかったので、そこに集中的に出稿して、売り上げが115%位アップしたということがありました。

モールサイトの一番大きな入口をどんと強くしたというイメージですか?

竹山さま)
そうですね。Big Queryでちゃんとテーブルを構築して、自分たちが取りだしたいアウトプットをイメージして実施し、かつスムーズにアウトプットも出せたからこそ、月の途中でもスピーディに費用変更でき、そうした結果につながった大きい理由かと思います。

これまで見えなかったものが見えるようになったというのとは別に、例えば他のお客様ですと今まで手動で作成していたレポートが簡単にBig Queryから引っ張ってこれるようになったので、大幅に人的リソースが浮いたとか、工数を削減できたというような話があるのですが、そういった効果もありましたか?

竹山さま)
工数は削減できていると思います。アウトプットというか、元データを出す工数を大幅に削減できたので、単なる広告出稿費用の変更だけでも、今まで一週間くらいかかっていたのが、1日くらいでできるようなっているので、かなり大きいと思います。

今後進めていきたいこと

御社の中でデータを一か所に集約していって、今後こういう着地点といいますか、今はできないけど、こういうことをしていきたいというような、思い描いているようなことはあったりしますか?

竹山さま)
結構今、連携できそうなデータはほぼ連携できてきてはいるので、このあと何をするかですよね。

Quick DMPは、天気データのようなパブリックデータをとってくることもできるので、天気が晴れだったら何が売れるというような、目で見ているだけでは到底気付かないようなデータを分析していけるような環境をBig Query上で構築できると、より次世代の面白い話にはなるかと。
あと祝祭日のデータ、カレンダーデータを引っ張ってきて、一般的な店舗とかですと通常、祝祭日の売り上げが伸びると思いますが、ECの場合はどうなのか?というところをまとめて見ることができます。
現在御社では、オフライン、店舗のデータと連携されて、ユーザーの、オンライン、オフラインでの購買行動をとらえて、オンライン広告やメルマガでアプローチするというところだと思うのですが、その得た情報を逆に店舗側で活かしていくという施策はありますか?

竹山さま)
今はまだそこまではできていないですね。

先ほど、分析に関しては必要なときだけビジュアライズされているとおっしゃっていたのですが、社内全体で共有するようなダッシュボードみたいなものはありますか?またその需要はなさそうですか?

竹山さま)
あると思います。自分らがやらなきゃいけないと思って、できるかなとは思っているのですが。上司にも、私がやりたいことやっているので、共有の場を設けるようにと口すっぱく言われていて(笑

周りから何やっているか見えないというか(笑
Quick DMPの目的としては、竹山さんのような主担当の方が、分析しやすい環境を作るということの他に、主担当ではない方に、考えるきっかけを提供することも目標としていて、そのために、分析しやすいデータを整理する、興味を持っていただきやすいように、サマライズされた情報をデリバリーするというところも意図しているので、その辺もちょっとお手伝いできるとQuick DMPとしてより価値が出せるかもしれないですね。

他にも、Quick DMPにこういうことしてほしいみたいな、この辺もカバーしてくれたらというようなご要望はありますか?

竹山さま)
もっとこういう使い方があるということがあまりわかっていない、Quick DMPでどういうところからどこまでできるかっていうことがわからない部分もあって、その部分をアピールしてくれれば、イメージがつきやすいかかもしれません。

基本的にQuick DMPは大きく二つのサービスがあります。データを収集してくるところと、そのデータに対してビジュアライジングして届けるという二つに分かれています。 強みとしては、いろいろな広告ツール、Google広告とかYahoo広告とか、Twitter、Facebookなどの広告に関しても、アカウント情報さえいただければその成果情報を全部引っ張ってくることができます。
そうしたモジュールを今後増やしていって、お客様からご要望をいただいたら、Quickにデータを集めてきて、集約しますよっていうところを強みにしています。 ただメインはお客様がもっていらっしゃるデータ、例えばメルマガ配信システムのログデータとか、基幹にもっている個人情報を含まないユーザーデータと広告データが多いです。 今後は御社とともに、どう使っていきましょうという案の出し合いなどができればありがたいです。

竹山さま)
これまでは、データを統合することに注力してきて、あまりビジュアライズのことは気にしていなかったのですが、今後は、社内でBig Query分析を面白いと思って使ってもらったりとか、データを見るという文化を作っていきたいというのはあります。

Googleアナリティクス360の領域になるのですが、Big Queryの勉強会も、入門編レベルであれば、2~3時間で開催できるので、現時点でもQuick DMPを積極的にご活用いただいていますが、この先、1年2年というところのビジョンを一緒に描きながらご支援できればと思います。 ご協力ありがとうございました。

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